「育休復帰せず退職」青山祐子アナの報道への誤解と社会がすべきこと

「育休復帰せず退職」青山祐子アナの報道への誤解と社会がすべきこと



「育休復帰せず退職」青山祐子アナの報道への誤解と社会がすべきこと

青山祐子って人、復帰せずに退職らしいね。

正直、苛立ちを隠せません。
でも、青山さん御本人の問題もあるけど、政府・会社にも考えてほしい問題だと感じました。
この記事では、報道への誤解についてと、社会がすべきことは何かを考えていきます。

2019年3月15日のこと。
2012年1月から実に7年以上産休育休を取得していたNHKアナウンサー青山祐子さんが、「育休復帰せず退職」されました。
これを知った私の率直な感想は、こちら。

結構強い言葉で批難しています。
私自身も、計3年3回育休を取得しているのにもかかわらず。

理由は単純。

彼女の7年間であった出来事を見ると復帰する意思が感じられなかったから。

影響力がある人だからこそ、復帰する意思がないなら無いのを匂わせてほしくなかったし、復帰したいのにやむを得ずできないなら、ちゃんと説明してほしかったから。

これに尽きます。

別に人様のおうちのことなので口を出すのもどうかなとは思ったけど、あまりに色々考えさせられたので、今回は思うところを書かせてください。

これは青山さんご本人のモラルの問題はもちろんあるとは思いますが、根底には「働く女性」の周りの環境そのものの問題もあると感じています。
Twitterの文字数じゃ書ききれませんので、ブログ記事にしてみました。

拙い文章ですが、お読みいただければ嬉しいです。

育休復帰せずに退職、有りなのか?
・青山さんの場合、5年前には既に復帰意思はなかったのではと感じた
・「育休復帰せずに退職」は職場に失礼だし迷惑
・だけど、本人だけの問題でもなく、社会全体で取り組むべき問題



青山祐子さん「育休復帰せず退職」問題でよく言われる誤解

青山祐子さん「育休復帰せず退職」問題でよく言われる誤解

まず、お話がややこしくなりそうなので、先によく言われる誤解を解いてから先に進みたいと思います。

NHKからずっと給料が出ていた??

基本的に産休育休中の賃金の支払い義務はなく、社内規定によります。
参考文献として挙げた記事には、以下のことが書かれていました。
NHKの就業規則では、女性職員の妊娠の場合有給で112日間の産前産後休暇、希望次第で産後最大1年6カ月、無給で育児休暇を取ることが可能だという
有給と言っても減額はあるでしょうし、社会保険料についての記載もありましたが、これも育休取得者にプラスとなるものではありません。
だから「NHKからお金をもらっていたのに、税金泥棒!」というのは、やや誤りかな?と思います。


7年間ずっと育児休業給付金をもらっていた??

おそらく給付金は2人目までだと思います。
ちょっと難しい話になるので、詳細は読み飛ばして頂いて構いません。

育児休業給付金を貰える基本的な条件は以下のとおり。
育児休業開始日前の2年間に11日以上働いた月が12ヶ月以上ある
連続的に育児休業を取得する場合は、以下の条件も考慮されます。
・育児休業開始日前の2年間に産休・育休・疾病などで30日以上働けない日があれば、その期間分を2年に加算してくれる
・ただし延長は最大で4年間
彼女の場合、2012年1月に最初の産休に入り、第三子出産は2015年7月。
育休は恐らく9月からで、4年遡ると「2011年9月からの4年間で11日以上働いた月が12ヶ月以上ある」必要があります。

2011年9月〜2012年1月は12ヶ月ありませんので、該当しません。

したがって、4人産んではいるものの、給付金は2人分であったと考えられます。
(計算が間違っていたらすみません。少なくとも4人目はもらえなかったはずです。)

育休って復帰する必要があるの??

実は、法律では「復帰しろ」とは書いていません。
取得条件は以下の2つのみです。
一 当該事業主に引き続き雇用された期間が一年以上である者
二 その養育する子が一歳六か月に達する日までに、その労働契約(労働契約が更新される場合にあっては、更新後のもの)が満了することが明らかでない者

そして、事情は不明ですが、実は復職せず退職した人も7%ほどいることが、厚生労働省の調査でわかっています。
状況が変わって仕方なく、か本人のモラルの問題かは不明ですが…

ただし、復帰を前提とした制度であることには変わりないですし、職場も席をあけて待ってくれているわけですから、道徳的には「復帰必要あり」だと思いますよ。

復帰する意思があったのに、夫の海外転勤のせいで無理になったの??

では、青山さんの場合は、「復帰する意思があったのに直前に無理になった」のか??
これについては…ごめんなさい。
復帰意思は少なくとも途中からはあまりなかったと思います。

一部憶測も含みますが、私が怒りを覚えたのはこの部分についてです。

詳細を次から書いていきます。


青山祐子さんは復帰する気があったのか??私はなかったと思う

青山祐子さんは復帰する気があったのか??私はなかったと思う

御本人が何も言っていない以上憶測の域を出ませんから、あくまで私の意見です。

青山さんのご出産は以下のタイミングでされています。
ご出産のタイミング
2012年3月 長男出産
2013年6月 長女出産
2015年7月 次男出産
2017年2月 次女出産
これね、ウチとほぼ同じ年齢差の子どもたちに小学生が足された感じなんです。
大変か大変じゃないかって言ったら、普通に大変だと思いますよ。

ここまでなら、「夫も海外なら仕方ないのかな?」で済む話。
でも、その海外が、実は3人目さえ産まれていない、今から5年前からわかっていたなら??

はっきり言います。
4人目を産んだ時点で復帰する気はあったのかというと、私はなかったと思います。
憶測の域をすぎませんが、恐らく2人目出産後の時点でほぼなかったと思います。

関係者によると、青山アナの夫は生活の拠点を海外に置いて仕事をしているとされる。4人の幼い子供を抱え、7年のブランクがあるなど復帰には難しい状況がそろっていたようだ。
という部分で、「仕方ない」と思う方もヤフコメとか見ているといるようです。

が、問題は「拠点が海外」になったのがもう5年以上前だということ。
以下のフェイスブックから明らかなんですね。

25ansブログ更新しました。「送別会♡ランチ」お茶のお稽古仲間であるNHKアナウンサーの青山祐子ちゃんがご主人様のお仕事の関係で香港にお引っ越しする事になり、仲良しの櫻姫会の仲間が集合し送別会ランチをしました♬櫻姫会の仲間は本当に結束力が...
Beauty Specialist Yoshiko 美肌研究家 和泉佳子さんの投稿 2014年3月18日火曜日


これが今から5年前、2014年3月の出来事。
つまり3人目出産の1年以上前の時点で家族で香港引っ越しとなっているんですよ。

そして、御本人は現在も海外に拠点をおいているとの報道もあります。

仮に

  実は報道とは異なり引っ越していなくて青山さん本人はずっと日本にいた
  香港に引っ越したが復帰時に青山さんが帰国予定だった

いずれだと考えても復帰時には「夫が海外にいる可能性が高い」のには変わらないし、予期せぬ海外転勤だったわけでも決してありません。

だから本当に「復帰したい、育休を取ったのだから復帰する必要がある」と考えているならば、4人もお子さんを作る前にもっと実現可能性を考える必要があったのだと感じます。

影響力の欠片もない私ですら、「年の近い3児かつワンオペ育児かつフルタイム勤務」という超レアケースだから、夫が海外に行ったらとか、産まれてくる子が先天性の病気を抱えていたらとか、キャリアのこととか、後輩のこととか、可能な限りで何パターンもシミュレーションしたものですよ。

年子2人でワンオペ育児のワーママなんてザラにいます。
が、この年齢差で4人いてワンオペ育児はレアケースです(私ですら割とレア)。

夫を残して帰国してやっていけるか、シミュレーションしてから産んでいけると思ったなら、復帰前から退職なんてしないでしょ。
ゆえに「影響力のある人なのに思慮が浅い」と思うし、復帰する気が本当に合ったのか甚だ疑問なんです。


短期間で4人も産んだのは尊敬しますが、全てを手にいれようとした結果こんな形になったとしか正直思えないんですよね…


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復帰の意思がない(と思われる)のにギリギリまで辞めないことに問題ってあるの?

復帰の意思がない(と思われる)のに辞めないのは問題?

「復帰の意思がなくても辞めない」って問題なの?

超大問題です。

仮に復帰の意思がなかったとして、辞めないことに問題はあるのでしょうか?

先程「法律的にはセーフ」とは言いましたが、NHKという大所帯ではなく一般的な企業という観点で見て、私は2つの理由で問題があると考えています。
・企業の義務が増える場合がある
・他の妊娠中ママ、ワーママへの誤解が生まれる
以下で見ていきいます。

産休育休中でも「常時使用する労働者」であり、企業の義務が増えることもある

よく言われる「産休育休中のお給料」は、社内規定によりますが、基本的に企業に支払い義務はありません。
少し古いですがわかりやすい資料があったので、東京労働局の「【妊娠→産休→育休→復職】紛争解決事例集」というものから抜粋します。

産休育休中のお金

この資料では、産休中は事業主が社会保険料を支払わねばならないことになっていますが、2014年に改正があり、産休・育休をとっている間に事業主が特段お金を支払う必要はありません。


問題は、産休育休中でも「常時使用する労働者」である点です。

労働安全衛生法では「常時使用する労働者」の人数により、例えば以下のようなもの・人員の配置(または数アップ)が企業側に求められます
労働安全衛生法で求められるもの
・休養室の設置
・ストレスチェック
・産業医
・トイレの数
・衛生管理者の数


新しく雇うと常時使用する労働者が一人増えるわけですから、ギリギリで回している中小企業にとっては仮に1人分のお給料を払う必要がなくなったとしても、死活問題になります。

だからといって新しく雇えないとなると、マイナス1でずっといないといけないわけですから、現場は疲弊してしまいます。

あとでお話しますが、現場の疲弊には「保育園問題で復帰時期がわからないから、新しい人の雇用が難しい」という点ももちろんあると思います。

「働くワーママ」「働く妊婦」をよく知らない人に、マイナスイメージを与える

うちの会社は女性が少ないながらも年間育休取得者は50名以上いるし、その復帰率も100%です。
こういう企業のなかにいると、「妊婦」「ワーママ」にそれほど悪い印象を持っていない方が多いです(と思っています汗)。

ですが、「ワーママ」「働く妊婦」の実態をあまり知らない方から見たらどうでしょう??
結局たった一人の「モンスターワーママ」「妊婦様」やテレビや雑誌で見る人達の印象が、そのまま「ワーママ」「働く妊婦」のイメージにどうしてもなってしまいます。

「本当に復帰する気があるの?」
「どうせ無理ってなったらやめるんでしょ?」

こう思われても仕方ない事例だと思いました。
だから、後輩ワーママやワーママへの眼差しがキツイものにならないかな…ということを危惧しています。

以下の参考文献にあるように「復職しない育児休業取得者」について

  休業給付だけを目的に休業取得し、復職時には「状況が変わった」で復職しない者も多い
  「義務」を果たさずに「権利」を主張する従業員の増加とその対応が課題

等の不満が現時点でも、多く出ており、それを助長してしまう恐れがあります。

実際、社内で数人目の育休取得者となった友人は、そういうので結構苦労していましたし…。

だから、もし青山さんの「育休復帰せずに退職」が本当に元々は復帰する気だったけど無理だった、無念だったとかなら、ちゃんと「こういう理由で無理でした」っていうのを言ってほしかった。
影響力のある人だからこそ、伝えられることがあったはず。


社会・会社にも改善の余地はあると感じた

社会・会社にも改善の余地はあると感じた

今回の青山さんの場合、既に5年前から旦那様が海外にいて、ご自身もまだ海外在住とのことで、正直考えが甘かったと思います。

でも、実際は復帰直前に転勤とかもありますよね。

私の先輩のところも、奥さんの復帰からわずか数ヶ月で転勤になっていたので、少しズレたら「育休復帰せず退職」だったかもしれません。

では、そうならないためにはどう社会や会社があるべきか。

私の稚拙な考えでは、以下の2点に尽きると思います。
夫婦ともに未就学児がいる場合の海外赴任や転勤に制限を設ける
保育園問題の早期解決
これらについて、おはなししていきます。

海外赴任や引っ越しを伴う異動の制限

私は種々の理由により、結局上から下まで3歳半差で子どもを産みました。
その理由の一つが「小さい子供がいる期間をできるだけ短くすることで、夫の単身赴任時に生き延びられるように」でした。

そして今回、青山祐子さんの夫(+ご自身)が海外にいるということも報道では理由に挙げられていました。
彼女の夫の場合は、一般的な企業の転勤とは異なるようでしたが、やはり「夫の転勤」は女性が子育てと仕事を両立する上で大きな壁になると思います。

だから、妻も夫も未就学児がいる間の海外赴任や、引っ越しを伴う異動の制限があったらいいのにと感じています。

今まで何人もの転勤を見てきましたが、「必要性」「必然性」に疑問が残る転勤も正直見受けられました。
キャリア形成の観点から行くと「事業所内異動で十分では?」ということもよくありますし、今である必然性がない場合も多いです。

もちろん、あの人は子どもがいるから転勤がなくてずるい!とかもあるでしょうから、不公平がないように

  手当の付与
  総合職を細分化し、給与体系を見直す

などは必要だと思います。

でもそもそも今は昔と違って会議システムも充実しているので、根本的に「転勤制度」自体を見直す時がきているのではと思っています。

実際、以下の記事のような動きもあるようですので、「転勤制度」の見直しを視野に入れた会社・社会の構造ができればと感じます。



保育園問題の早期解決

復帰時期が読めないと、以下の2つが大きな問題となります。
仮に労働安全衛生法的に問題なくとも「新しい人を雇いづらい」ため現場は疲弊する
人員配置が難しく、復帰者や周囲の扱いに困る
ですが現在は、復帰が確定するのが年初入所でも2ヶ月前、途中入所なら2週間前なんていうのもザラです。

もし保育園問題が早く解決して「希望者が希望時期に入れるようになる」ならば、最初から復帰時期がほぼ確定するから、新しい人を期間限定で雇うことも、人員配置も、今よりずっとずっと容易になるはずです。

もちろん産まれてみて状況が変化することも多々あるとは思います。
でも、少なくとも今よりも育休取得者まわりの環境はよくなるのではないでしょうか。

転勤制度の見直し+保育園問題の解決で、少なくとも「無念の育休後退職」はだいぶ防げると思っています。まぁ解決の兆し見えないですけど…涙

その他制度の見直し

「再雇用制度」のさらなる推進や、上でお話した労働安全衛生法の「常時使用する労働者」に除外制度を設けることも有効だと感じています。

本当はやめたいけど悩んでいるから「籍を置くだけ」なら、もっと再雇用が充実すれば良いでしょう(悪用もあるかもだけど)。
私の同期でも、夫の海外留学についていくために一度退職し帰ってきたら「弊社の再雇用制度で再雇用」してもらうという方がいます。

こういう柔軟な対応ができれば、悩んで問題を先送りにした末の退職なんて減るのでは?と感じます。
再雇用は実際に政府が推進しようとしているようです。

また、「常時使用する労働者」に除外制度を設ければ、ギリギリでまわしている企業でも人員が増やしやすくなるのではと思います。

そもそもいない人のために休憩室作ったり衛生管理者の数増やしたりとか、マジ意味ないからね。
今後に期待です。

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最後に。「育休復帰せず退職」、もちろん本人のモラルの問題もあるが、社会に改善の余地あり

「育休復帰せず退職」は、本人のモラルの問題が原因となることもありますが、決して本人だけの問題だけではありません

ここまでお話したように、社会・会社がやるべきことがまだまだあると感じています。
通信技術や交通網が発達したにもかかわらず、不必要な転勤制度がはびこっていること
未だに解決の兆しが見えない保育園問題
この2つが解決すれば、「無念の育休後退職」はだいぶ防げるのでは?と思っています。

私は未就学児3人いて、ほぼワンオペ育児で、フルタイム勤務をしています。
それでも安心して育休復帰できたのは、夫の転勤があっても数年は先であること、兄弟枠でほぼ入園確定しており職場も自分もシミュレーションがしっかりできていたことも大きかったですよ。

また、もし青山さんが本当に復帰する気だったけど無理だった、無念だったなら、ちゃんと「こういう理由で無理でした」っていうのをご本人の口から伝えてほしいです。
影響力のある人だからこそ、短期間で4人も産んだ人だからこそ、変えられる・世に議論させられることも、きっとあったはずですから。

影響力なんて欠片もない私ですが、この記事が、少しでも多くの方の目に止まり、育休まわりの問題を考えるきっかけとなれば幸いです。

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